一言メッセージ等、応援していただいて本当にありがとうございます。
読んでいる方、続きを待ってくれている方がいると思うとモチベーションが
↑up↑します。
この一週間はちょこっと予定が多いのですが、頑張って更新できるようにしたいと思います。
【魔王様 SS 前編】
宙に両手をかざして、指先、そしてその延長の空の空間に意識を傾ける。
魔力と呼ばれるものをその身に持たない者には口で言ったところで、どうしても理解してもらえるとは思えない感覚が前進を走る。
血管がざわめく、とでも言えばいいのだろうか。
静かに押し寄せる"力"を体の外に切り離して、その奔流を押さえ込む。
「等しく空を満たす者よ、刃なせ」
唇から紡がれる言葉は、ただの純粋な"力"に姿を与える。
己の魔力が剛鉄をも容易く砕け散らす刃へと変じたのを感じ取り、狙い定めた一点へその力を解き放つ。
――――ヴンっ。
空間を割くことも出来そうなほど鋭いその凶器は、遠く離れた空中に浮く小さな鉄の板に目掛けて閃光の速さで飛び去ると、それを粉々に打ち砕いた。
その様に鋭さはあってもけして派手さはない。
しかし、魔力を操るものにとって驚嘆に値すべき技であった。
元々、魔力を制御することは人族にとって困難を極めることだ。有する魔力が大きければ大きいほど、制御は難しい。
それをこれだけの制御力を持って、緻密にコントロール出来る者は熟練と呼ばれる聖士にもそうはいない。
ましてや彼、青年と呼ぶには早すぎる、少年という呼称が相応しい彼の年代であればなおさらだ。
周囲に人の目があれば賞賛の声が降りかかったのであろうが、今、夕刻過ぎのこの時間帯には訓練場にいるのは彼1人。
見る者もいない場で彼が静かに両手を下ろし、次の体勢を取ろうとした時であった。
「おーっと発見!」
陽気な声が訓練場の室内に響いた。
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